ツーリングレポート

 

 

 

  

inoさんからのツーリングレポート9

火の国・九州編   2001年8月2〜5日

夏は暑い。

バイクも熱い。

そんな中、灼熱地獄の “火の国” 九州へ向かった竜治は、まさしく『飛んで火に入る夏の虫。』だった。

 

今回のルートはこうだ。 

2日夜・7時30分のマリンエキスプレスで大阪を発ち、翌3日朝・8時30分に宮崎港に到着。先ずはルートを西に採り、韓国岳(からくにだけ)を標榜する “えびの高原” へ向かう。そこから福岡まで一気に北上し、博多ラーメンを喰らいましょう。今度は東に向かって大分県の国東半島を目指し、の実家で宿泊。(走行距離約500km。) 

翌朝、別府温泉泥湯に浸かってから “やまなみハイウェイ” を南下して阿蘇へ。あっそ。ほんでもってそっからまた西に向かって熊本市内ラーメンを喰う。ほいたら帰ろってんで高速で一気に宮崎に戻る。時間が余ったら、市内でチキン南蛮喰ってからマリンエキスプレスに乗り込もうって計画。(走行距離約500km。2日間計 1,000km。) 5日朝 大阪着。

走行距離の割に中身の薄いこの計画を聞いた石田はこう言った。

『絶対無茶やわ。そんなん死にまっせ。』

なんだよ、今回一緒に行けないからって、やけに否定的じゃん? 俺達だって、じっくりと時間計算はしたんだよ、こうなりゃ意地でも走破したるぅ!


やって来ましたぁ、あ、あんあんっ、南国〜・宮崎へ〜っと。

およよ、意外と涼しいじゃん。こりゃ大阪の方が暑いかもね。 んじゃ、行きますか。竜治も随分ハリキッテルみたいだし。

 時間がもったいないから、宮崎自動車道で一気にえびのスカイライン入り口の小林ICまで。ここにある名水100選・出の山湧水でちょいと水分補給。うん、美味い。よっしゃ、ほいたらワインディング攻めましょう。なかなかのつづら折れを上がっていくと、少しずつ気温が下がっていくのが肌で感じられる。いやぁ、最高だねぇと思ってたら市営露天風呂出現。ここは山肌にある自然の露天風呂。以前は混浴だったらしい。今は男女別。ちくしょ、余計な事しやがって。とは言え、開放感タップリでこりゃいいや、うん。

ここ、えびの高原宮崎鹿児島の県境。韓国岳の隣は霧島山。手前は賽の河原と呼ばれ、噴き出す硫黄で山肌の一部が見事に禿げ上がり、剥き出しになった岩は黄白色にただれている。まさしく地獄の様相。でも全体の景観は極めてGOOD!

ここを発つ時に、野生の鹿が俺達の無事を祈って見送ってくれた。サンキュー。

 えびのスカイラインより急勾配で狭い霧島バードラインを下り、えびのICから九州自動車道へ。さぁ〜て、大宰府まで一気に200km北上しちゃいましょうかね。しかし、ラーメン喰いたさだけでここまでするか、普通?

俺達が目指すのは博多ラーメン【一蘭】。一時、味を守る為に会員制になったほどの超一流店らしい。

北熊本SAで一回だけ休憩を挟んで行こうと決めたのだが、いやいやおそるべし、九州自動車道。ここ、えびのから八代までの間に大小合わせて約20個ものトンネルが点在する。このトンネルが超曲者。中には5km程度の長さを誇る物もあるのだが、今回驚いたのはちょいと造りの古い、しかも距離のあるやつ。トンネル中央付近は熱気がこもってまるでサウナか蒸し風呂かって感じで、俺達の体力を急激に奪いやがった。自動車に乗ってる奴には判らんやろうけど、こりゃあ地獄でしたな、いやほんと。そんなこんなで八代を通過すると、今度は『朝の爽やかさは何処行ったの?』ってほどの灼熱地獄。おそらく市街地が近くなったせいだと思われるが、こんな連発で喰らわされるとかなりピンチだぜい。

何とか北熊本SAに辿り着いたが、予想以上に疲労が蓄積してた。軽く水分補給する程度と考えていたが、ここは少し多めに時間を割くことを余儀なくされた。木陰のベンチに寝っ転がると、風が心地良い。うん、まだ大阪よりはマシだな。

 自分でも驚くほどの水分を吸収し、俺達はラーメンを喰うためにまた走り出した。ちょっとした気分転換も兼ねて、俺達は愛車を交換して走る事にした。竜治ZRX1100に乗るのはこれで2回目だが、竜治ZX9Rに乗るのはこれが初めてだ。竜治は慎重に、且つ意外と楽しそうに9Rを操っていた。はといえば、ZRX1100のリラックスしたポジションで極力体力温存に努めた。

灼熱地獄を愛車交換と言う気分転換で乗り越えた俺達は、ついに【一蘭】に到着する。平日(金曜日)の午後3時過ぎという事もあって、店内はまだ比較的空いていた。

入って先ず驚くのがテーブル。カウンターが一人ずつ仕切られている。 周りを気にせず、じっくりと味わって欲しいからなんだと。さて、そのラーメンはと言うと、セパレートされたカウンターの上に、“会員制” 時代の名残か、個々の好みに対応するべくオーダー票が置かれている。麺の硬さやスープのこってり度、チャーシュー、ネギやニンニクのトッピング等、6〜7項目をアレンジ出来る。

初めての俺は、ほとんど標準のオーダーを記入して待つ事数分、待望のラーメンがやってくる。

!!!!! 

・・・皆さん、何も言いません。行って喰ってみて下さい。

ラーメンのひとつの完成形がそこにあったように思います。

 

美味いラーメンを喰って、心と身体がやっと元気を取り戻した俺達は、大分県にあるの実家を目指して本日最後の力を振り絞る。な〜に、あと僅か200q程度、たいしたこたぁねぇさ。(この日の気温37℃超、全国的に猛暑だったって事に気付いたのは、大阪に帰って暫くしてからの事でした。) 

そろそろ夕刻とはいえ、照りつける日差しはまだまだ強烈な中、大分自動車道を東へと走り続けていると、なんだか異様に疲れている自分に気がついた。

『およよ、何か道が揺れてるよ…。』

地震じゃあるまいし高速道路が揺れる訳が無い。実は己の頭の方がフラフラになっていた。うあ〜っ、いかんいかん、こりゃ気合入れな!

『うぉ〜! だぁ〜!』

熱気のこもったヘルメットの中で、自分自身に喝を入れる。しかし、それももう限界だった。うつろになった眼前に、SAの標識が飛び込んだ。は前を走る竜治を追い抜き、有無を言わさずその玖珠SAに飛び込んだ。

バイク専用エリアに9Rをぶち込み、サイドスタンドを下ろしてゆっくりと降りると、情けなくもフラフラとその場にへたり込んだ。既に歩けないほど消耗していたんだよね。竜治も疲れてはいるのだが、まだ余力は残している。

『…。(エネルギーの体内蓄積量に、随分差があるんだな…。)』

俺達のエネルギーもエンプティー寸前だったが、愛車達もそれは同じだった。ところが、

『このまま高速乗ってても、GSありませんよ。』

『…。(じゃ、どーすんだよ。)』

ツーリングマップルを紐解くと、数q先の玖珠ICを下りるとすぐにGSがある。その上、マップルお勧めルートがの実家への方向に伸びている。こりゃ行くしかねぇか!

愛車達にも栄養補給をして、深い山間を抜けて行くと、そこは椎屋耶馬溪と言う景勝地だった。全国的に有名な耶馬溪の一角を成し、いたる所から奇峰・奇岩が顔を出す。山のてっぺんから空に向かって岩がニョキニョキって伸びてるんだよ、想像できる?それだけにここはかなりの難所でもあって、その昔、禅海和尚がノミとツチだけで30年もかけて彫り上げた【青の洞門 】がある事でも有名。

この景勝を楽しみながら進むと、突然そこは断崖絶壁!西椎屋の滝(落差86m)の脇の断崖を、強烈なつづら折れで下りていく。自然の凄さを見せつけられたよ、ほんと。

 

さて、八幡宮の総本山・宇佐神宮の前を通って国東半島へ。通過点の豊後高田市を流れる桂川の横には小汚ねぇ工場がある。ここが 釣り具の“ダイコー”高田工場。ちっくと遅くなっちゃったんで、そのまま素通りで失礼致しやす。

午後7時、実家に到着。几帳面な竜治が、俺の親父とお袋に几帳面に挨拶をしている。礼儀正しいねぇ。当たり前か。早速シャワーを浴び、今日一日の汗を流してくつろがせてもらう。

くぅ〜っ、ビールが美味い。本日の晩餐は、まっこと楽しいきに。親父殿も上機嫌。久しぶりに実家に寄れて良かったよ。

 

翌朝 7時。そろそろ行こか。親父、お袋、ありがとう。ほいたら。…また竜治が几帳面に挨拶しとる。もうええて、行くで。

宇佐別府道路〜大分自動車道で別府ICへ。“地獄巡り”で有名なここ、別府は言わずと知れた日本有数の温泉街。街全体から噴煙が無数に立ち昇る。別府、明礬、柴石、鉄輪、観海寺、堀田、亀川、浜脇【別府八湯】からなり、その源泉数2800箇所世界一。今回、俺達が訪れたのはその中の明礬温泉・別府温泉保養ランド。外観は古びた普通の温泉センター。しかし、湯を見たら驚く。先ず内湯のコロイド硫黄の白い湯で老化した皮膚をきれいにし、準備万端整った所でまるで池のような泥湯露天風呂へ。ビデオカメラを持ち込んで、露天風呂を撮ろうとしたのだが、“無断撮影禁止”の張り紙にがっくりと肩を落とす。でも、粘土を溶かしたようなニュルニュルの泥湯は、浸かっただけで笑みがこぼれる。とその時、とんでもない出来事が!バラエティー番組『ガチンコ!』のナレーションがピッタリくる衝撃的な事態が目の前で繰り広げられた。な、なんと20代のうら若きお姉ちゃんがその露天風呂にやって来たのだ。(注:この先はレポートには書けません。直接に聞いてください。尚、竜治には聞かないでやって下さい。怒り出しますから。)

 

頬っぺたの筋肉が緩みっぱなしのと、眉間にしわをよせたままの竜治はそれぞれの想いを胸に秘め、噴煙立ち煙る別府を後にした。湯布院から水分峠を抜け、やまなみハイウェイ阿蘇を目指す。九州ツーリングに訪れる奴の大半がこのやまなみハイウェイをルートに入れる。のどかで雄大な風景を満喫出来、しかも峠や高原・草原と変化に富むこの道は、バイク乗りが憧れる一つの究極形なんだろうと思う。あんまり楽しいんで、写真もビデオも撮るの忘れちゃった。


そんなこんなで阿蘇山上到着。雄大な景色はもう最高。ちょいと阿蘇で遊ぶ。見渡す限りの草の海、その草をはむ牛や馬たち。良いねぇ、自然って。やっぱもうちょい各地での時間とったほうが良かったかな。忙しすぎる。


って事でさぁ次行きましょ、こんだぁ阿蘇を南下して麓にある白川水源。ここも名水百選に選ばれてて、行ってみたらなかなか凄い事になってる。人出がかなり多く、賑わってるよ。各々ポリタンクやペットボトルで水を持って帰ってる。なるほど、脇を流れる川の水は透明度が高く、かなり冷たそう。更に奥へと川上に進み、水源地へ到着した俺はびっくらこいたね。滾滾と湧き出る水は、マジ透明。こりゃ写真見てもわかんねぇだろうなぁ。ほんと、凄いよ。これさぁ、目の前の水深60p〜70pは悠にある訳よ。でもね、写真なんかだと10p〜20pくらいにしか見えないでしょ。こりゃぁ実際行って見てもらうしかないね、うん、ここお勧め。因みにの座ってる真ん前辺りで水が湧き出してるんだけどね。

 

さてと、ラーメン喰いに行きますかぁ。ここから西へ50qも行けば熊本市内。しかしこっからまた地獄見る事になるとは、まだこん時思いもしなかったんだよな。

そろそろ2時を廻り、日中の気温も最高潮。市内へ向かう幹線道路は交通量が多くて更に不快指数が跳ね上がる。どんどん身体に熱気がこもりだす。そういやぁ昨日も熊本辺りって暑かったんだよな。自分が衰弱していくのが手にとるように分かる。体力の限界と戦い、その上ちょいと市内で迷いながらも、何とか目的のラーメン屋を発見。と、ところが…

『…準備中じゃん!』夕方5時からだった。気力・体力・時の運、全部果てた。

『もう一軒(他の候補)探しに行きましょうか?』

時計を見ると、3時45分。

『…いや、諦めよう。』

熊本から宮崎まで約200q、船に乗るには遅くとも6時には宮崎港に着きたい。逆算するともう既にやばい時刻だ。

『こんな苦しい思いして、何の為に熊本市内走り廻ったんやぁ〜!?

うん、全くだ。俺達ぁ我慢大会をしに来たんじゃない。でも、もうどうしようもない。

『とにかく、(高速乗って)霧島PAまで走るぞ。』

疲れたよ。あぁ〜疲れましたよ。でも走んなきゃしょ〜がねぇじゃん。熊本ICから松橋八代と走り、昨日も通った熱気ムンムン蒸し風呂トンネルを潜り抜け、もう既に半分飛んでいる意識で何とか霧島PAに辿り着く。

『…で、今何時や?』

『…5時20分。』

でぇ〜、ちょっと水飲んでガソリン入れたら、すぐに出なぁあかんがな。宮崎港までは、もう今までのペースじゃやばい。俺達は120%のパワーでラストスパートをかけた。景色を見る余裕も何もあったもんじゃねえ。午後6時。無理やり帳尻を合わせて、宮崎港に到着した。


結論。九州は、行き先も地獄、見る物も地獄、走るのも地獄の、正に“地獄巡り”でした。

…でもまた来よう。

おしまい。

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